毎年やってくる母の日。子どもや家族からのプレゼントを「うれしい」と感じながら、内心では「本当はこっちの方がよかったな…」と思ったことはないだろうか。
贈る側が頑張って選んでも、受け取る側の本音とすれ違ってしまう——これが母の日あるあるのひとつだ。今回は複数の調査データと実際の声をもとに、年代別に「もらう側の本音」をひもといていく。
全年代共通のデータから見える「本音」
まず大前提として、母の日にプレゼントをもらったことがある女性を対象にした調査で、「もらえたら嬉しいプレゼント(本音)」の1位は何だったか。
母の日.meが2025年に行った調査(10代〜70代以上の男女674名対象)によると、1位は「メール・手紙・メッセージカード」で18.5%。2位が「スイーツ」(15.8%)、3位が「好きなことができる自由な時間」(14.4%)という結果だった。
一方で、かつて定番だった「お花・観葉植物」は前年の18.5%から11.0%に大幅に低下。つまり今の母親世代は、花よりも「言葉」や「時間」を求めているという傾向が浮かび上がってくる。
また、日本生命が2025年に実施した2万人以上を対象とした調査でも、贈る側の平均予算が5,848円なのに対し、貰う側が希望する金額の最多回答は「3,000円未満」だった。約7割が「3,000円未満で十分」と回答しており、高価なプレゼントより、気持ちが伝わる小さな贈り物を求める本音が見えてくる。
【30代】子育て真っ只中のママが望む「ひとり時間」
30代の母親は、乳幼児から小学生を育てる世代が多い。毎日の育児・家事・仕事でヘトヘトになっている人も多く、母の日に求めるものは非常に特徴的だ。
1位は「ひとりの時間」
キッズライン(子育て支援サービス)が2024年に0〜17歳の子を持つ母親307人に行った調査では、母の日にしてほしいことの1位が「ひとり時間の確保」だった。
毎日新聞が報じた同様の調査(0〜17歳の子を育てる女性605人回答)でも、「母の日に家族にしてほしいこと」の1位は「一人で過ごす時間をつくってもらいたい」で43.8%と断トツの1位。2位の「感謝の言葉をもらいたい」(34.2%)を大きく引き離している。「花をもらいたい」はわずか18.8%、「プレゼントをもらいたい」は15.5%にとどまった。
子育て中のリアルな声を見ると、こんな言葉が並ぶ。
「頭の中が大体仕事か家族のことでいっぱいなので、何も考えなくてよい時間がほしい」(40代女性/神奈川県) 「子どもが家にいるとなかなかテレビをゆっくり見られないので、一人でテレビを見たい」(30代女性/東京都) 「数時間でもいいのでカフェでのんびりしたい」 「1日一切家事をやらずにのんびりしたい」
なぜ「ひとり時間」なのか——育児負担の偏りという背景
同キッズライン調査では、育児において母親への負担が偏っていると感じると答えた母親が86.3%にのぼった。総務省の2021年社会生活基本調査でも、6歳未満の子を持つ共働き夫婦の家事・育児の分担割合は妻が77.4%を占めている。
つまり「ひとり時間がほしい」という本音の背景には、常に誰かのために動き続けている疲弊感がある。母の日のプレゼントよりも「何もしなくていい時間」「家族に任せてサボれる時間」こそが最大のギフトなのだ。
感謝の言葉・手紙も上位に
物よりも気持ちを求める声も多い。「子どもから手作りのお手紙をもらえるのが一番うれしい。物は自分で買えるので」(40代女性/兵庫県)、「旦那からいつもありがとうが聞きたい」(30代女性/大阪府)など、パートナーや子どもからの言葉が何より響くという声が30代には特に多い。
【40代】自分へのご褒美を「後押し」してほしい年代
40代になると、子どもがある程度手離れし始め、少しずつ「自分の時間」が生まれ始める転換期に入る。それと同時に、自分のために使うお金や時間に「もったいない」「贅沢すぎる」という感覚を持ちやすくなるのがこの世代の特徴だ。
「自分では買えない上質なもの」を求める
ギフトモール(40代母親対象のWebアンケート)の分析によると、40代女性がもらって嬉しいプレゼントの上位には、こだわりのスキンケア・入浴剤・キッチンアイテムといった「消耗品でも上質なもの」が常にランクインしている。
「実用的なプレゼントって、手抜きに見えないかな…」という不安に反し、40代母親に「何が欲しい?」と聞くと「毎日使えるものがうれしい」という答えが多いという。条件は「普段は”もったいない”と感じて買えない、少し贅沢なもの」「毎日使う頻度が高いカテゴリ」「自分ではなかなか買わないご褒美品」の三つだ。
くふうカンパニーが実施した「母親の本音」調査でも、40代・50代の声として「身につけられるもので、存在を感じたい(服飾小物希望)」「普段食べないようなお菓子が楽しみ(菓子・スイーツ希望)」という具体的な本音が集まっている。
それでも本音は「言葉」と「家事」
母の日.meの2025年調査では、「贈り物以外でしてもらえたら嬉しいこと」の1位は「家事」(26.7%)、2位は「ありがとう等の感謝の言葉」(26.2%)だった。
「普段、お父さんが家事をしてくれると感謝の言葉をかけるけど、たくさんの家事をこなしているお母さんには何にもないし、当たり前みたいになってるのが少し不満なので、言葉がほしい」(50代女性)という声は、40代・50代の母親に共通するリアルな感情だ。
また、子育て世代を中心に「母の日くらいはあえて母親の役割から離れてゆっくりしたい」という声も根強い。家族に1日家事を任せて「何もしない自由」を贈ることが、最も喜ばれるプレゼントになることもある。
【50代】「モノ」より「コト」へシフトする年代
子育てが一段落し、ある程度自分の時間が持てるようになってくる50代。物欲も落ち着いてくるこの世代には、独自の「本音」がある。
「ものを増やしたくない」という意識
50代になると、暮らしをシンプルにしたい、物を増やしたくないという意識が高まりやすい。「形に残る物よりも、思い出になる体験や食べてなくなる消えものギフトを好む」傾向が強まるのがこの世代の特徴だ。
くふうカンパニーの調査では、50代女性の声として「やっぱり自分の好きな物が買えるから(現金希望)」という本音も見られた。現金や商品券を希望する母親が一定数いるのも、この世代以降に多く見られる傾向だ。
「一緒に過ごす時間」を望む声が増える
ハルメクホールディングスの調査では、母の日にしてほしいことを聞いたところ「特になにもしてもらわなくてもいい」が最多で35.9%だったが、続いて「自宅で食事など、一緒に過ごしたい」が29.5%、「一緒に外出を楽しみたい」が27.6%と続いた。
50代はまだ体力があり、活動的な人も多い。子どもが社会人になり始め、物理的に離れて暮らすようになるこの時期、「一緒に過ごせる機会」がプレゼント以上の価値を持つようになってくる。
母の日.meの調査でも、「この歳になると、自由な自分だけの時間も普段持つことが出来るので、家族と一緒にお話ししたりご飯を食べたりする時間を大切にしたいです」(50代女性)という声が代表的だ。
楽天インサイトの調査では、子どもがいる女性に「母の日は子どもと一緒に過ごしたいか」を聞いたところ、50代以上になると「どちらともいえない」が増える一方で、「一緒にいたい」という本音も確かに存在している。
【60代・70代】「元気でいてくれれば十分」という親心と、その裏の本音
60代・70代の母親は表向き「何もいらない」「来なくていい」と言うことが多い。しかしその言葉の裏には、プレゼントへの期待や寂しさが隠れていることも多い。
「何もしてもらわなくていい」は建前でもある
ハルメクホールディングスの調査で「特になにもしてもらわなくてもいい」と答えた母親は35.9%と最多だったが、くふうカンパニーの調査では、そう答えた理由として「子どもに金銭的な負担をかけさせたくない」「子どもが元気でいてくれたら十分」という子どもへの気遣いが多数を占めていた。
「モノはいらないと思っていても、もらうとやっぱりうれしい」という声もあり、建前と本音のギャップがこの世代に最も大きい傾向がある。
花が特別な意味を持つ年代
60代以上の母親の声として「母の日以外に花をもらう機会がない(花を希望/50代女性)」「別々に住みさみしくなったので、花を贈ってもらうと家のなかが明るくなる(花を希望/50代女性)」という声があった。
日常的に自分のために花を買うことが少ない世代にとって、花束は「あなたのことを思っていた」という証になる。リングベルの調査(40代・50代・60代・70代各100名)でも、60代・70代では「旅行」への人気が高まるものの、花はどの世代でも定番の支持を保っていた。
「孫の顔を見るのが最高のプレゼント」
70代・80代になってくると、物よりも家族や孫との繋がりが圧倒的に重要になる。「子どもや孫たちが元気に過ごしているだけで十分嬉しい」という本音が強くなるのがこの世代だ。
あるアンケートでは「ひ孫のメッセージ動画を持って面会に行ったら非常に喜んでくれた」「物より孫のメッセージムービーの方が喜ばれました」という体験談が多く集まった。高価なプレゼントよりも孫の写真や動画、一緒に食事をする時間が何よりのギフトになっている。
年代別「本当に欲しいもの」まとめ
| 年代 | 本音の1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 30代 | ひとり時間 | 感謝の言葉・手紙 | 家事・育児サポート |
| 40代 | 上質な消えもの(スキンケア・スイーツ等) | ひとり時間 | 感謝の言葉 |
| 50代 | 一緒に過ごす時間 | 消えもの・体験ギフト | 花 |
| 60代 | 花・消えもの | 一緒に食事 | 旅行 |
| 70代以上 | 家族・孫との繋がり | 花 | 消えもの |
全年代を貫く「たったひとつ」の本音
年代によって求めるものは違う。しかし、すべての年代のアンケートを貫いて共通しているのは、
「気持ちを伝えてほしい」
という一点だ。
プレゼントの金額や種類ではなく、「あなたのことを考えた」という事実が伝わることが何より嬉しい——そのことは、30代も70代も変わらない。
母の日.meの2025年調査では「感謝の気持ちを伝えることの価値が改めて見直されている」と分析しており、贈られて嬉しかったことの1位が「メール・手紙・メッセージカード」になったのも、その証拠といえる。
手紙一枚でも、電話一本でも、一緒に過ごす時間でもいい。「あなたが大切だ」ということが伝わる形であれば、それが最高の母の日になる。
参考データ:
- 母の日.me「2025年度母の日後アンケート」(10代〜70代以上674名)
- 日本生命「母の日に関するアンケート調査」2025年(21,184名)
- ハルメクホールディングス「母の日に関する意識と実態調査」2023年
- キッズライン「母の日に関するアンケート」2024年(0〜17歳の子を持つ母親307名)
- くふうカンパニー「2025年母の日についての母親の本音調査」
- 毎日新聞報道「母の日に欲しいもの調査」(0〜17歳の子を育てる女性605名)
- 楽天インサイト「母の日に関する調査」2018・2019年
- リングベル「母の日ギフト人気ランキング調査」(40〜70代以上各100名)
